2016年11月25日金曜日

書評:日本の鯨食文化 小松正之著

ブログ随分更新してないし、こう言う内容はFB直よりこっちの方が良いかな、と思って、久しぶりに更新。

日本の鯨食文化

もう少し、
IWCで日本が追い込まれていった状況とか、
反捕鯨国の思惑、戦略とか、
モラトリアムの根拠のなさとか、
日本がどれだけ経済的に不利益を被ってるとか、
実際の鯨の頭数は減ってるのか、増えてるのか、とか、

そんな部分を知りたくて一冊買ってみたんだけど、
そもそもタイトルが「日本の鯨食文化」だから、選ぶ本を間違っている。

文化という切り口で、日本の鯨食の歴史をよく示してある。
一章では鯨食が如何にして発展したか、
二章では著者の記憶に残る美味しい鯨料理の紹介
三章では鯨食の文化が残っている地方と料理屋の紹介

なかなか楽しい内容だった。

とはいえ日本の捕鯨を守る為に前線で戦った著者。
序章には特定の鯨を乱獲をし、頭数を激減させた主犯であるアメリカらが如何にして反捕鯨国家になった理由。また日本がアラスカ沖での鱈漁を守る為にアメリカの提示してきた交換条件にあっさり騙されて、捕鯨モラトリアム勧告に対する異議申し立てを取り下げたあげく、結局鱈漁も出来なくなったといった腹立たしい裏切り行為の状況が書かれており、これは参考になった。

改めて別の本を探して読みたいと思う。

そして最後の極めつけ。
終章での一部を引用することにする。

鯨食を守る気のない日本政府
ところが2010年6月、IWC(国際捕鯨委員会)正副議長提案の名の下に、日本はアメリカと事実上共同し、我が国の南氷洋の調査捕鯨から撤退する提案を行った。議長提案とはいうものの、日本側から足繁くアメリカに通って作ったのである。これまでの主張を覆し、国際条約上の権利を放棄したのであるから、これは屈辱的な提案に他ならない。
中略
日本は84パーセントもの(捕獲数の)削減を自ら提案したのである。
「科学的根拠に基づく鯨類資源の持続的利用と異なる食文化の尊重」という、国際社会にも堂々と通用する主張を自ら変更し撤回した記憶に残る年となった。
奇しくも、民主党に政権交代が行われて最初のIWC総会であった
中略
さらに、2011年2月18日、今度は、反捕鯨団体「シーシェパード」の妨害を受けた事を理由に、本年度の南氷洋の調査捕鯨からの撤退を決定した。これについては2005年から妨害が継続していたわけであるから、打つ手は明確に判明していたはずである。日本の主権的管轄下で操業する自国船を守るのは、政府の当然の義務であり、それを怠り、逃げ帰ることは、国民の目にも、国際的な目にも許されない。海上保安庁と水産庁の巡視船、取締船を派遣して、安全を守る姿勢を断固として示すことが本来あるべき姿である。

引用終わり

(- -;)
ああ、またもう一つ闇の3年3ヶ月の負の遺産の存在を知ってしまった。

それまで必死に守ってきた砦を一瞬にして、外圧に迎合して自ら破壊してしまっていた。
そしてこの事は当時殆どメディアにも取り上げられなかったと著者は書いている。この本は2011年の6月に出版されていたのだが、私は今まで知らなかった。

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ともあれ、それらの腹立たしい出来事はさておき、
この本を読めば、如何に古くから(縄文時代から)我々は鯨を食してきたか。組織的捕鯨とまでは行かなくとも、どうやら積極的に捕獲してきたらしい痕跡ものこっているという。
そして捕鯨が漁村での生活、そこで営まれる文化を創ってきたことが分かる。
なぜなら鯨は一人で捕獲出来る獲物ではないからだ。

その他江戸の文化にも鯨食は深く関わっており、著者の「我々は捕鯨の文化を守っていかなければならない。」というメッセージをしっかり受け止めることが出来た。

私ももっと鯨を積極的に食いたいと思う。