平成28年第1回定例会の質問内容および解説

冒頭48分間、60分頂いた時間の殆どを費やし、三重短期大学の、政治的中立性の問題、所属する教育公務員の政治的活動に関して、追求し、結果的に市長からの答弁を頂きました。


12月に私が指摘した内容に関して、三重短大が2月末に報告書を提出しました。
これを受け、津市側が短大関係者を入れずに、津市の顧問弁護士などの助言を受けながら、独自に調査をするという回答でした。

3月に提出された一般会計予算には、三重短大関係の支出がおよそ5億7000万ほど計上されており、昨年とほぼ同額の予算が付いています。
入学料や学費などを引いても津市の一般財源から2億拠出して運営しています。
前回の指摘以降何も改善されないまま、去年と同様の予算が付けられていることを問題視しましたが、
実際、三重短側からの回答が定例会開会日とほぼ名時時期までなかったことを踏まえて、今回の予算に反映する事は時間的に間に合わなかったという事情は考慮いたしました。

市側が適切に調査をするという市長の答弁を信頼し、閉会日には同予算案に賛成を致しました。

48分有りますし、法律の条文が複数出てきて難解です。興味がある方は下の方に解説をつけますのでそちらをご覧下さい。

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ふるさと納税に関して

ふるさと納税制度が始まってから、津市は累積で4000万以上の赤字を出している団体です。
この場合の赤字とは、
他市にお住まいの方達が津市に寄附を頂いた額から、津市にお住まいの方達が他市に寄附をして(返礼品を購入して)結果減額された市民税を引いた額、です。

津市の方達が行ったふるさと納税額の方が、津市が津市外の方達が津市に寄附してくれた額を、圧倒的に凌駕しています。

支払う手数料2000円に対して5000円近くの価値がある商品を「買う」ことが出来、色々な産品が自治体から提案され、魅力的で「お得」な買い物が出来てしまっているのが現状です。

これが、制度上良いのか悪いのか、制度運営のモラリティのとらえ方は一つの議論ですが、自治体を運営する側として、実際返礼品競走が過熱し、より高額の返礼品があるところに人が殺到し、津市の税収が減っている現実も、対処せねばならない内容です。

現状問題があるという認識の上で、政策財務部長は、提案した内容も含めて今後の対応の仕方を検討していきたいと答弁いたしました。


サミットに関して

伊勢志摩サミットにおいて津市はやはり、国外からの来訪者にとって「三重の玄関口」であります。
次回三重に来るときは、高速船を使って津に来てそこから陸路で移動した方が、便利だよね、早いよね、という認識をしてもらうために、今回サミット開催時に高速側線利用促進の為の、どのような施策を講じたのかたずねました。

三重県との容疑の結果、国外から来られるメディア団体には、津から伊勢のメディアセンターまでの無料シャトルバスを出す事が決まった。
また、新聞報道にあるように、三重交通さんが、津から会場周辺までのシャトルバスを運行して頂ける事になった。

すばらしい成果だと思います。

教科書

昨年三省堂が、自社の英語の教科書を採択してもらうために、複数の教員に謝礼金を渡していた事が、発覚しました。
教科書採択にあたって、教員に対する所謂贈収賄にあたるような行為が行われていることは、過去から随分問題視されてきた内容です。
過去にも尾鷲市で教育長が逮捕された事例もありました。

今回の調査で三重県内に14人対象が居ると言うことが新聞に載り、
今回の答弁から、その内1名、津市にも該当者が居るという答弁が帰ってきました。

その一名は、謝礼は受け取っていない。
教科書が送付され、それは送り返したとのこと。
加えてこの教員は教科書採択には係わっていない。
という答弁でした。

3分ほどしか時間を残していないことと、他にも教科書採択に関して訪ねたい内容がありますので、更に突っ込んだ内容は、次回の定例会に回したいと思います。

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三重短大に関する質問の解説


12月に質問をして問題提起を下のち、市長が三重短大に対して報告を求めました。その報告が2月末に提出されました。

その報告書は以前にもブログにアップしましたが、改めてリンクを張っておきたいと思います。


三重短大の問題を大きく二つに分けています。
まず学校の中立性。
主語は学校です。
これは教育基本法の14条2項に定めてあります。

(政治教育)
第十四条  良識ある公民として必要な政治的教養は、教育上尊重されなければならない。
2  法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない。

議場での議論したのは
「その他政治的活動」が何か。という点です。

短大の報告書の1ページ下段に以下の記述があります。
引用
教育基本法14条2項の「その他政治的活動」の意義については、「特定の政党を支持し、又はこれに反対するための」という限定が「政治的活動」にも付されていると解する立場と、特定の政党との関係の有無にかかわらないと解する立場に分かれています。

つまり、その他の政治的活動が、特定の政党を支持ないしは反対するための活動に限定されるという解釈が存在するという主張です。

これに対し、12月にも提示させて頂いた、平成26年の平岡秀夫議員の質問に対する小泉純一郎総理大臣名での答弁を提示し誤りであると指摘を致しました。

この答弁では明確に
引用
(学校がしてはならないその他の政治的活動とは)政治上の主義若しくは施策を推進し、支持し、又はこれに反対するようなことを目的として行われる行為を指すものであり、必ずしも特定の政党を支持し、又はこれに反対するための行為に限られないものと解する。

と書かれています。

政治上の主義や施策、今回の場合平和安全法制に関して、反対する事を目的として行われる行為、これは学校の中立性を損なうという明確な答弁内容です。

これに基づき
三重短大内にある二つの団体
県民アピールの会、及び有志の会は、同大学の教員が設立に積極的に関わっており、学内に置かれ、活動しています。
報告書にもあるようにその目的も
報告書5ページに記載して有るとおり「特定の法案に反対する活動を行っている」と自認しています。

もっともこの報告書では、「特定の内閣や政党を支持したり、それに反対したりしているわけではないことから、本会の結成とその活動は人事院規則で制限対象となる政治的行為にはあたらないと考えます。」
と続いていますが、
教育公務員個々の政治的活動の禁止に関してを問うのは後段で、
まず学校の中立性に於いて
教育基本法14条2項に示す禁止行為を、三重短大が行っていると捉えるべきです。

教員がやっていることが、大学がやっていることになるのか?という趣旨の発言を学長はしていますが、
一方の団体は事務局を大学内に置いています。
他方は所属教員30人中28人が参加し、学内で活動をしています。
これが学校がやったのではなく教員が勝手にやっていることだから大学は関係ないと言ってしまえば、授業の内容ですら学校は関係がないと言い逃れすることすら出来るでしょう。

三重短大の中立性が損なわれていることは明らかです。

なお、同報告書にあり、学長もしきりに述べている大学の中立性に関して

14分頃から言及しています。

報告書にある
学術研究の自由、研究発表の自由、教授の自由と呼ばれるものは、憲法23条に書かれる「学問の自由」に包含されるという、あくまでも通説で有り、これらは憲法上規定されたものではありません。

教育基本法7条2項が「自主性、自律性その他の大学における教育及び研究の特性が尊重されなければならない」と規定していること、また、そもそも憲法23 条の学問の自由は、学問研究への外部の権力・権威による干渉は許されてはならないことを保障し
たものと考えられ、

と報告書には書かれています。
教育基本法7条2項が外部の権力・権威による干渉を排除するために規定された条文だと三重短大は主張しますが、
そのような目的の為にこの条文は書かれておりません。

教育基本法が改正された、平成18年から遡ること9年前から、大学の在り方が長らく検討され、その検討結果の末この条文が書き加えられました。

人口が減少する中、学生数が減り、大学に残り研究を続ける人達の数と質の低下が懸念されるなか、日本の大学が国際的に価値をもたらす研究を行い、より魅力有る大学へと刷新されるために、「自助努力」によって大学改革が行われる事を求めて、この条文が記載されました。

報告書にあるような「外部の権力・権威による干渉を排除するため」ではありません。

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続いて2番目の問題、人事院規則14-7と個別の教員の政治的目的を伴った政治的行為に関する違反に関して言及しました。
主語はそれぞれの教育公務員個人です。


この報告書の見解は終始、同規則の5項5号にある記載事項を根拠に、同大学教育公務員の取った行動は正当だと主張しています。

5号には
「政治の方向に影響を与える意図で特定の政策を主張し又はこれに反対すること。」
と書かれ
政治の方向に影響を与える意図とは「日本国憲法に定められた民主主義政治の根本原則を変更しようとする意思」
とされ、また
特定の政策とは、「特定の法案又は予算案を支持し又はこれに反対するような場合も、日本国憲法に定められた民主主義政治の根本原則を変更しようとするものでない限り、本号には該当しない。」

すなわち法案に反対を主張するだけでは違反に当たらないとし、学内に作られた2団体も正当だと主張しています。

一方で私はその前の3号
「特定の政党その他の政治的団体を支持し又はこれに反対すること。」
に抵触すると考えています。

学内2団体は、この目的に乗っ取り違反行為にあたる
6項
3号:寄附金の受領(アピールの会はこれを行っている)
5号:政治的団体の結成
6号:その他の政治的団体の構成員となる勧誘運動(アピールの会は一般に賛同者を募り、有志の会に於いては中心核になる教員が、他の教員を勧誘し、結果28人の賛同者を集めてています。)
7号:他の政治的団体の機関紙たる新聞その他の刊行物を発行し、編集し、配布(印刷物は元より、ブログなどのweb媒体も機関誌、刊行物と捉えることが出来ます。)

などに抵触していると考えています。

ここで問題になるのは、学内の2団体が「その他の政治的団体」にあたるかどうか。
これも人事院規則14-7運用方針に則り明確に
「その他の政治的団体」とは、政党以外の団体で政治上の主義若しくは施策を支持し、若しくはこれに反対(略)する目的を有するものをいう。
と書かれて有るとおり、既出のこれら2団体の活動目的を見る限り、
安保法制(特定の施策)に反対することを目的としている以上、これらは「その他の政治的団体」に他なりません。

また、複数の教授は報告書に報告されているとおり、学外の団体の野外活動に参加し、数分間にわたる発言を「拡声器」を用いて行っています。

これらの団体は
9条の会、シールズ東海、及び関連団体のWINDとよばれ
いずれも特定の施策(安全保障法)に反対し、またうち幾つかは、特定の政党および内閣を批判し(安倍内閣)かつ、来る参議院選挙での共闘と打倒与党を主張している、明らかな政治的団体です。

これらの団体の主催するイベントに於いて、これらの団体が主張する内容に賛同する発言を行えば、当然これらの団体およびその活動内容を「支持」したと捉えるべきではないか?とたずねたところ学長からは、「受け取る人によりけりだ」という不誠実な答弁が帰ってきました。

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最後に

同規則7項
7  この規則のいかなる規定も、職員が本来の職務を遂行するため当然行うべき行為を禁止又は制限するものではない。
という記述を根拠に、これら一連の行為は大学教授としての本分であり、職務であるため、これらの行動は禁止されるべきものではない。と同報告書3ページに書かれています。

そこで短期大学の目的をたずねさせて頂きました。
これは学校教育法に規定されています。

短期大学の目的
第108条 大学は、第83条第1項に規定する目的に代えて、深く専門の学芸を教授究し、職業又は実際生活に必要な能力を育成することを主な目的とすることができる。

と書かれています。
因みに83条は
大学の目的
第83条 大学は、学術の中心として、広く知識を授けるとともに、深く専門の学芸を教授研究し、知的、道徳的及び応用的能力を展開させることを目的とする。
2 大学は、その目的を実現するための教育研究を行い、その成果を広く社会に提供することにより、社会の発展に寄与するものとする。

と書かれています。
短大には2項に書かれる、教育研究を行い社会に提供し、社会の発展に寄与する。という部分がありません。
すなわち、1項にかかれた「職業又は実際生活に必要な能力を育成すること」のみが短大に求められた活動、言い換えるならそこに従事する「教育公務員の職務」だと言えます。

これら「必要な能力」を育成するのはもちろん、その能力を現時点で有していない「学生」です。短大はあくまでも学生がその能力を育成する場である事が第一義で、教員のための研究の場ではありません。

その上で
拡声器を使って「平和安全法制反対!」と主張する事が
ステークホルダーである市民、そして在学する学生、またその保護者が大学に求めている「職務」なのか?との問いに学長は明確に答えてくれませんでした。

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国立大学は独立行政法人化され、評価が導入され、予算が削られ、自主的な努力による大学改革が遂行されています。
より魅力有る大学に生まれ変わることが求められていますが、

三重短大は、他の市立短期大学に比べて
入学定員に対する実入学者数の比率の平均、所謂倍率は非常に低く、法経科2部は0.65倍と定員割れをしており、著しく人気がない、即ち魅力がない学科になっています。

短大が行わなければならない、従事する教育公務員が取り組まなければならない「職務」は大学入学志願者が増えるような、魅力有る学校と教育内容を作り上げ、志願者数が増え、卒業した学生が適切な技能を習得し、就職する事だと考えます。


繰り返しですが野外で拡声器を使って「安保法反対!」を叫ぶことではないはずです。

三重短大の今後の在り方として
少なくとも特別会計かをはかり、一般財源からの拠出額を「操出金」という形で明確化することが必要だと思います。
できれば、法人化出来れば尚良いでしょう。実際他市の短期大学で法人化されているところもあるようです。

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