三重短大内における教員の政治活動に関する短大側からの返答

昨日三重短期大学側から、前回12月に議場で質問した内容と、その後書面で調査を求めた内容に関して、回答が帰ってきましたので、報告させて頂きます。

少々長いことと、法律の条文など出てきて、慣れないと難解なのでかいつまんで説明しますと、

全ては教育研究活動の一環であり、政治的活動ではないという見解です。

すなわち
SEALDsや他同じく安保法(当時は法案)に反対する活動団体の野外活動に参加し

2分から15分のスピーチを
拡声器を使って訴えること「研究成果の発表」である。

また

記者会見を開いて記者に対して
******毎日新聞より*********
「法案が憲法違反であるだけでなく、法案を押し通すために、立憲主義に対する野蛮な攻撃が加えられている」「国際紛争を平和的に解決しようとする憲法の理念がうち捨てられようとしている」
などと厳しく批判、法案の撤回・廃案を求めた
********************************
という発言を行う事も、「研究成果の発表」である。

との見解です。

近々議場で取り上げますので、私の見解は現時点で差し控えさせて頂きます。
この説明が腑に落ちるかどうか、一度考えてみて下さい。

公開文書ですので、如何にPDF版へのリンクと、文書の内容を貼っておきます。(なお、以下のテキストはOCR機能を使って自動認識させた物ですので、若干の認識ミスが混入していると思われますので、ご了承下さい。)

書類のPDF版

以下

三重短期大学教員の教育研究活動等に関する調査報告書
三重短期大学学長東福寺一郎
本学教員がかかわっている「9条の『平和主義』を大切にする政治の実現を」県民アピールの会(以下「県民アピールの会」という)、「三重短期大学有志の会」(以下「有志の会」という)、「生存権がみえる会」などの会の結成や活動が、教育基本法が禁じる政治的活動、あるいは教育公務員特例法・国家公務員法が禁じる政治的行為にあたるのではないか、また「県民アピールの会」の連絡先が本学内の一研究室となっている乙とが不適切ではないか、などの疑念に対し、教育公務員の政治的活動についての考え方を整理した上で、私と学生部長、図書館長の3 名が、関係する4 名の教員を対象に、本年1 月12 日(火)から27 日(水)にかけて合計6 回の聞き取りを行いました。また、学生22 名に対しては、ハラスメント防止対策委員長が学生部長同席のもとで、1 月14 日(木)から21 日(木)にかけて、合計3 回聞き取りを行いました。これらの調査結果に対する見解を教授会での意見を聴取した上で、学長としての見解をまとめ、以下に報告いたします。

1 基本的な考え方
(1 ) 教育基本法上の「政治的活動」について
教育基本法14 条2 項は、「法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない」と規定しています。「法律に定める学校」とは、学校教育法第1 条に定める学校を指し、国立、公立、私立を問わないものとされています。つまり、教育基本法は、政治教育に関しては、国立、公立、私立を区別せず一律に、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動を禁止しているものと解されます。
教育基本法14 条2 項の「その他政治的活動」の意義については、「特定の政党を支持し、又はこれに反対するための」という限定が「政治的活動」にも付されていると解する立場と、特定の政党との関係の有無にかかわらないと解する立場に分かれています。しかし、こと大学に関するかぎり、教育基本法7 条2 項が「自主性、自律性その他の大学における教育及び研究の特性が尊重されなければならない」と規定していること、また、そもそも憲法23 条の学問の自由は、学問研究への外部の権力・権威による干渉は許されてはならないことを保障したものと考えられ、かつ通説は「学問研究を使命とする人や施設による研究は、真理探究のためのものであるとの推定が働く」としていることから見ても、大学における研究者の意見表明が、特定の法案に反対する見解を述べたとしても、後述する人事院規則にもあるように、それが現政権を打倒すべきであるとか、明らかに特定の政党を支持し、またはこれに反対するためのものといえるのでなければ、教育基本法14 条2 項に抵触することはないと考えます。

(2 ) 大学教員の職務の範囲
改正教育基本法の逐条解説によれば、大学では、学生が政治的批判能力を有しているととを前提として、講義などにおいて、教授者の主観的政治見解がある程度交えられることなどは客観的かっ学問的見地から行われる限り許容され得るものとされています。
また、大学は、教育や研究を行うのみならず、その成果を積極的に発信しなければ、その役割を十分に果たしているとは言えず、研究成果の発信は大学の重要な役割と位置付けられています。研究成果を広く社会に発信することは、大学の教授その他の研究者の職務の重要な一部を成すもので、憲法23 条の学問の自由は、その自由な発信を保障しているものと解されています。この研究成果発信の自由は、憲法上表現の自由と同様に保障されると考えるのが一般であり、その中には、論文を公表したり、学会で発表したりするほかに、集会でスピーチしたり、同じ主張をもっ者と団体を結成することも含まれます。それ故、政治的に争いのある法案について研究した者が、その研究の結果としてその法案に賛成若しくは反対する見解をもったとすれば、その見解を公表し、同じ主張をもっ者と団体を結成することも研究活動の一環と見倣すことができます。

(3 ) 人事院規則上の「政治的目的」と「政治的行為」について
人事院規則14-7 では、まず第5 項において政治的目的を8 項目にわたって定義しています。その中で、第3 号では「特定の政党その他の政治的団体を支持し又はこれに反対すること」、第5 号では「政治の方向に影響を与える意図で特定の政策を主張し又はこれに反対すること」とされています。また、同運用方針において、第3 号の「その他の政治的団体」については、「政党以外の団体で政治上の主義若しくは施策を推進し、支持し、若しくはこれに反対し、又は公職の候補者を推薦し、支持し、若しくはこれに反対する目的を有するもの」とされています。この「政治上の主義若しくは施策を推進し、支持し、若しくはこれに反対し」の意義が問題になりますが、運用方針の第5 号関係の注釈で、「政治の方向に影響を与える意図」とは、日本国憲法に定められた民主主義政治の根本原則を変更しようとする意思をいうとされ、特定の法案又は予算案を支持し又はこれに反対するような場合も、日本国憲法に定められた民主主義政治の根本原則を変更しようとするものでない限り、本号には該当しないとされていることから見て、特定の法案に反対することだけでは前記「政治上の主義若しくは施策に反対する」ことには当たらず、従って、特定の法案に反対するだけの団体が「その他の政治的団体」に当たることはないと考えます。
次に、同規則第6 項においては政治的行為について17 項目にわたり、定義されています。その中で、第5 号に「政党その他の政治的団体の結成を企画し、結成に参与し若しくは乙れらの行為を援助し又はそれらの団体の役員、政治的顧問その他これらと同様な役割をもっ構成員となること」、第6 号に「特定の政党その他の政治的団体の構成員となるように又はならないように勧誘運動をすること」が挙げられ、運用方針の注釈では、そこに掲げられる行為それ自体で政治的目的をもった行為とされ、他に別な政治的目的をもってすることを要件としない、とされています。
しかし一方で、同規則第7 項が、「この規則のいかなる規定も、職員が本来の職務を遂行するため当然行うべき行為を禁止又は制限するものではない」と規定していることにも注意する必要があります。運用方針は、「第7 項は、形式的には、この規則の違反に該当する行為であっても、職員が正当な職務を遂行するために当然行う行為である場合には、この規則違反の制裁を受けないことを明らかにしたものである」としています」また、運用方針第2 項「この規則の目的」についての注釈で、「乙の規則が学問の自由及び思想、の自由を尊重するように解釈され運用されなければならないことは当然である」と規定し、さらに運用方針第5 項「違法性を阻却する場合」の注釈でも、「この規則は、憲法23 条に規定する学問の自由を拘束するような趣旨に解釈されてはならないことも当然である」と念を押すように規定していることも想起されるべきです。大学の教授その他の研究者が、学問研究の成果の発信として行った行為が、明らかに特定の政党を支持したり現政権を打倒することを唱えたりするものでない限り、人事院規則に抵触するととがないことは、これらの規定からも明らかであります。

2. 会の結成と活動について
[事実の概要]
(1 ) 「県民アピールの会」
《結成〉平成27 年5 月17 日(日)に、アスト津で開かれた県下の9 条の会の会合(「9 条の会みえネットワーク」) の席上、三宅教授とかねてから親交のあった有識者が、安保関連法案に関わる問題については大学人だけでなく、もっと幅広く県民にアピールすべきだという提起を行ったことが結成のきっかけです。県民アピールの会の代表はある宗教関係者、会計担当は当有識者、事務担当は三宅教授という役割分担になりました。その際、事務局(連絡先)は三重短期大学の三宅教授の研究室とされ、本学の住所と代表電話番号がチラシやブログに記載されています
《活動〉県民アピールの会のブログによれば、「日本国憲法、特に9 条が危機的状況にある現在、三重県民のみなさまがrg 条の『平和主義』を大切にする政治の実現を」目指して、大きな輸をつくるためにできる限りの努力をしていただくこと」を目的とし、大学人、宗教関係者、文化人、教育関係者、医師など多様な分野の人々が専門分野を越えて集まったものです。郵便局口座を利用した募金活動も行っていますが、聞き取りによると、本来の活動目的としては、アピール文を新聞広告に出した段階で活動終了の予定でしたが、大きな広告を出せるほどには募金が集まらず、チラシ「県民アピール」 発行後、特に活動は行っていないとのことです。ブログは有識者が自宅パソコンで管理しています。また、学生に対する呼びかけは、卒業生を含め、一切行っていないとのことです。

(2) 「有志の会」
《結成》平成27 年8 月下旬に茂木教授と石原教授が、また9 月7 日(月)には三宅教授が加わって研究室前の廊下で立ち話をする中で、結成の話がまとまりました。呼びかけ人の人選は主に茂木教授が担当し、9 月11 日(金)までに8 名の呼びかけ人を集めました。昨年9 月末時点で賛同者は28 名(本学専任教員26名、非常勤講師2 名)で、その後増減はありません。なお、規約等は存在せず、代表者も決まっていません。
《活動〉平成27 年9 月11 日に記者発表で声明文を読み上げるとともにブログを立ち上げました。ブログに掲載された声明文の最後には、「私たち三重短期大学有志は、学問と良識の名において、この戦争法案の衆議院強行採決に抗議し、参議院での審議を尽くして、撤回と廃案とすることを求め、明日戦争をはじめないためにこのアピールを発表すると共に、三重短期大学に関わるすべてのひとびとに、この声明への賛同を呼びかけます」とあります。その後の活動については、ブログの更新と本学の地域問題研究所が開催した計4 回の学習会への参加を行っています。ブログは、開設後まもなく長友教授が茂木教授から引き継ぎ、自宅パソコンで管理しています。学生に対しては、学習会の案内をゼミで行いましたが、これまでの学習会に参加した学生数は多いときで5 名で、0 名の時もありました。また、卒業生に対する呼びかけはその手段がないために行っていません。

(3) 「生存権がみえる会」
《結成〉平成25 年8 月の生活保護基準の引き下げに伴う生活困窮者を支援する組織として、長友教授や県内の福祉・介護職、医師、弁護士らの協議を経て平成25 年12 月に結成されましたロ会のブログによれば、当会は「憲法で保障された健康で文化的な生活がみえる社会、生存権を実感できる社会づくりに向けて、争訟などを通じ生存権を広く伝えていくことを目的」としています。実際、生活保護基準の引き下げに伴って審査請求が増え、裁判になることが多くなりました。生存権が憲法(25 条)に基づくものであることから、憲法学者を会長にということになり、三宅教授が会長に就任しました。事務局は三重県民主医療機関連合会(三重民医連)に置かれています。事務局長は長友教授、実務は三重民医連が行っています。
《活動〉毎月1 回夜間(午後6 時以降)にアスト津で事務局会議を開き、全国の裁判の状況報告を行っています。また関係する裁判の傍聴後、一般傍聴人を対象に原告弁護士による裁判の解説を聴く活動などを行っています。さらに年に1回シンポジウム(平成26 年10 月18 日(土)、平成27 年12 月22 日(火) )を開催しています。12 月22 日については、三宅教授は年休を取得しています。ブログは長友教授が自宅パソコンで管理しています。学生に対しては、両教授がゼミを通して裁判の傍聴に関する情報提供を行っています。
[評価]
( 1) I県民アピールの会」は、安保関連法案に関わる問題を広く県民にアピールすることを目的に結成された会ですが、記者発表とチラシの発行後は特に活動を行っていません。憲法にうたわれた平和主義を擁護することを目的に設立され、学際的な性格をもっ集団として、あくまで特定の法案に反対する活動を行っていることから、県民アピールの会は政治的団体には該当せず、また特定の内閣や政党を支持したり、それに反対したりしているわけではないことから、本会の結成とその活動は、人事院規則で制限対象となる政治的行為にはあたらないと考えます。
(2 ) I有志の会」は、様々な専門分野の教員による幅広い知見から、安保関連法案だけではなく、戦争と平和の問題について多角的な研究を行うことを目的に結成された会です。地域問題研究所主催の学習会には、有志の会のメンバーも一研究者の立場として参加しています。上記の活動の内容と有志の会のブログから判断する限り、特定の法案に反対しているのみであり、特定の内閣や政党を支持したり、それに反対したりしているわけではないことから、本会の結成とその活動は人事院規則で制限対象となる政治的行為にはあたらないと考えます。
(3 ) 「生存権がみえる会」は、生活保護基準の引き下げが、生活保護受給者にとどまらず、最低賃金の引き下げなど一般の人々にも深く関わってくることを広く県民に知ってもらうことと、生活保護基準引き下げに関する裁判のサポートを行うことを目的としています。こうした目的のために支援活動やシンポジウム開催などを行う本会は政治的団体に該当するとは考えられず、従つl て、本学の教員が会長や事務局長に就任することも支障がないものと考えます。
3. 街頭活動について
[事実の概要]
(1 ) 平成27 年8 月30 日(日)弁天山公園
「九条の会すずか」のメンバーから三宅教授に依頼があり、安保関連法案が市民生活に与える影響などについて15 分程度話したとのことです。
(2)平成27 年9 月17 日(木)センターパレス真ん中広場
WIND (若い世代がつくった市民団体)から三宅教授に依頼があり、午後7 時頃長友教授が、午後7 時過ぎ頃茂木教授が、それぞれ2~5 分程度話したとのことです。茂木教授は「有志の会」声明文の主旨を、長友教授は日本社会福祉学会をはじめとする社会福祉系学会会長共同声明「戦後70 年目の8 月15 日によせて」の主旨を伝えたとのことです。
(3)平成27 年9 月17 日(木)津駅西日
午後6 時過ぎから行われた「戦争をさせない三重県1000 人委員会」の集会で、三宅教授が、安保関連法案が市民生活に与える影響について5 分程度話したとのことです。
(4)平成27 年9 月18 日(金)津駅東口
午後6 時過ぎから行われた「戦争をさせない三重県1000 人委員会」の集会で、三宅教授が、安保関連法案が市民生活に与える影響について5 分程度話したとのことです。
[評価】
いずれのスピーチにおいても、安保関連法案に批判的な発言があったと考えられますが、人事院規則14 一7 の第5 項の各号に示される政治的目的、例えば「特定の政党やその他の政治的団体を支持し又はこれに反対すること」や「特定の内閣を支持し又はこれに反対すること」など、に該当する発言は行っていないとのことでした。従って、同規則の第6 項第11 号で「集会その他多数の人に接し得る場所で又は拡声器、ラジオその他の手段を利用して、公に政治的目的を有する意見を述べること」が政治的行為とされていますが、政治的目的を有する意見が述べられていないことから、ここで取り上げた街頭活動は、人事院規則が制限する政治的行為には当たらないと考えます。
4. 大学施設等の利用について
[事実の概要]
「県民アピールの会」の結成が提起された際、三宅教授に事務担当の依頼があり、同教授はこれに応じ、自身の研究室を事務局(連絡先)としました。また平成27 年8 月5 日(水)午後4 時から1 時間程度、本学の演習室1 で打ち合わせ会議を開きました。出席者は同教授を含めて6 名でした。
その後、「県民アピールの会」の会合への参加意向を示した面識のない8 名に、三宅教授が初めて連絡をとった際に研究室の電話を利用しました。使用回数は明確には記憶していないそうですが、多めに見積もヲて10 回、挨拶程度の連絡だったため、一件最長で5 分程度とのことでした。学内でメールやファックス、コピー機、印刷機の利用はしていないとのことです。
[評価]
県民アピールの会への関与にヲいて、三宅教授は憲法学者としての教育研究活動の一環ととらえ、l県民アピールの会の活動として本学の施設を利用することは目的内使用にあたると認識しており、会議のための使用にあたっては施設使用簿に記載するにとどまっていました。県民アピールの会が三宅教授の研究フィールドであることには間違いありませんが、本学と直接関係のない団体として本学の施設を使用するにあたっては、津市の条例等に規定する取り扱いに従って、正式に申請し、許可を得る必要がありました。しかし、大きな原因は、本学の施設利用に対する教員間の認識を徹底できていなかったことにあります。従って、今回の事案については、統括すべき立場にある学長としてその任を果たしていなかったことをお詫び申し上げますとともに、私が責めを負うことが適当であると判断します。
[今後の方針]
これまで本学の施設利用について、明確なルールのもとに運営されてきたとは言えない側面があります。従って、設置者との協議を踏まえつつ、施設利用の考え方を整備することが必要であると考えます。当面は本学が主催する行事以外で、本学の教室等を教職員・学生が利用する場合については、それが学術的もしくは教育的な性格をもつものであることを学長が判断した上で、他の業務に支障のない限り、当該施設利用を認めることとします。その際、使用料等についても必要があれば徴収します。
5. 記者発表について
[事実の概要]
( 1) 「県民アピールの会」
平成27 年8 月11 日(火)正午に県庁記者クラブで記者発表を行いました。三宅教授を含めて5 名が出席しました。
(2) r有志の会」
平成27 年9 月11 日(金)午前日時過ぎ頃から30 分程度、県庁記者クラブで記者発表を行いました。茂木教授、三宅教授、長友教授が出席しました。
[評価]
今回の記者発表については、各会の声明文を紹介するだけでなく、3 名の教授はそれぞれ歴史学、憲法学、社会保障学の立場から安保関連法案がもっ問題点を指摘することも行ったとのことです。このように、今回の記者発表について、3 名とも各々の教育研究活動の一環という認識をもっていますが、たとえ教育研究活動の一環であるとしても「外出届」を提出する必要がありました。このことについては、教授会において当該3 名の教員を含め、すべての教員に対し認識を改めるように指導しました。
[今後の方針]
例えば、資料収集のために図書館へ行く、研究上必要なヒアリングを行うなど、教育研究活動の一環として一時的に勤務場所を離れる場合には「外出届」、それ以外の活動で勤務場所を離れる場合には「年休(時休) J をとる必要がありますが、とりわけ外出届に対する認識が近年疎かになっていました。大学教員としての勤務場所や勤務時間の考え方については、今後、人事課との協議を踏まえつつ、そのあり方を整理していく必要があると考えます。
6. 学生と教員との関わりについて
(1) 「ヤング9 条の会」の結成と活動について
[事実の概要]
《結成〉平成16 年4 月に三宅教授の前任者が本学に着任した当時、全国で9条の会」の設立が呼びかけられ、各地でí9 条の会」が生まれていました。同じ頃前任者のゼミ生数名が憲法の学習グループを自主的に作りました。これは正式な学内サークルではなく、前任者もその活動には関わっていません。その後憲法の学習会を通して、乙のグループと三重大学の学生との交流が始まり、学生による学生のためのí9 条の会」を立ち上げる相談がまとまりました。平成17 年9 月に三重大学で開催された津地久枝氏の講演会に両大学の学生が参加し、「ヤング9条の会」の立ち上げを発表しました。
翌日月には、「ヤング9 条の会」の紹介と勧誘のチラシが作成されていますので、文言の一部を記載します。
「改憲が叫ばれている今、未来を担う若者の立場から9 条を見つめなおし、ともに平和憲法について学んでいこうと三重県内の学生を中心に「みえヤング9 条の会(略称:ヤン9)」 をこの度結成しました。日本各地でも大学生が主体となった9 条の会が続々と発足しています。ヤン9 の本格的な活動はこれからですが、学習会やさまざまなイベントを通じて9 条について考え、私たち若者の平和へ対する自由な発想を持ち寄って、明るく楽しく活動してみませんか?」
チラシには連絡先のメールアドレスが記載されていますが、顧問名などの記載はありません。これは現在の同会の紹介と勧誘チラシにおいても同様です。このように、「ヤング9 条の会」は教員の誘導によるものではなく、三重大学と三重短期大学の学生を中心に、学生の自主的な活動の中から自然発生的に生まれた「学生のための9 条の会」であり、両大学の教員はその運営にほとんど関わっておりません。学内でのサークル登録もされていませんロまた、「顧問」という役割は結成当初から現在に至るまで存在していません。
《活動〉当時のブログによると平成17 年~19 年に、メンバーは三重大学や本学で総会や講演会を開催しています。開催を巡って両大学当局との聞で問題が生じたことはなかったようです。その後活動は下火になりましたが、平成21 年4 月頃、「活動を復活させたい」という学生の声があがり、休止状態だ、った同会の活動が再開されました。活動は一様ではなく、学生の入れ替わりによってメンバーがゼロになった時期もあります。東日本大震災の後、新たなメンバーによって活動が再開され、被災者ヒアリング、他国体とのコラボ集会等を行っています。
[評価]
「ヤング9 条の会」は、三重大学と本学の学生の自主的な活動の中から自然発生的に生まれた「学生のための9 条の会」であり、結成にあたって教員の先導や強制はなかったとのことです。活動は、以前も現在も学生主体で行われており、教員から学生に対して講演会などの情報提供は行うものの、そこへの参加は学生の自発性に任されています。平成26 年6 月に三宅教授が行った講演会で学生2名が司会を務めましたが、このときも三宅教授からの依頼に快諾したものであり、教員から強制したものではないとのことでした。このように、ヤング9 条の会における学生と教員のかかわりについて、問題となることは見出されませんでした。
(2) 学生への聞き取りについて
【実施の経緯]
平成27 年12 '月の市議会定例会の教育厚生委員会における発言通告として、山崎委員から「政治的に偏った授業内容と単位取得に関して」との項目が示され、「学生に対する学外9 条の会の参加要請、および、単位取得の可否」に関する資料請求がありました。この点について委員会では当委員から具体的な言及はありませんでしたが、こうした疑念がある以上、報告書で言及する必要があると判断し、私から、学生への聞き取りを行うよう要請しました。一方、議員からの指摘を知った三宅教授本人からも、学生への聞き取り調査実施の強い要請がありました。
【方法と調査項目]
~意的な回答誘導を避けるため、2 名のハラスメント防止対策委員で実施しました。聞き取りの対象者22 名には聞き取りの冒頭で、協力できる者のみ協力していただければよい旨確認しました。また、聞き取り方法についても合意を得た上で、個別に聞き取りを行いました。調査においては、市議会からの質問を受けて、それに答えるための質問をすると紹介した上で、三宅教授のゼミおよび講義において、同教授の関係する会(ヤング9 条の会など)への所属、参加が単位修得の条件となる、所属しないことや
不参加が単位の不修得となる、また、同様に成績評価に影響するなどの発言を聞いたことがあるかについて、聞き取りを行いました。
【結果と評価]
上記の質問に対する22 名の回答は、すべて「聞いた乙とがありませんでした」「そのようなことはありません」というものでした。すなわち、三宅教授がゼミや講義において、同教授の関係する会への所属、参加を単位修得の条件、好成績評価の条件としたり、所属しないことおよび不参加を理由に単位を修得させないとか成績評価を低くしたりするなどの発言をしたという事実は認められませんでした。

最後に

今回調査した結果をみる限り、本学教員の一連の行為に、教育基本法や人事院規則が定めるところの政治的中立性に抵触するところはなかったと考えますが、本学の施設使用や勤務時間、勤務場所についての考え方に課題があることが明らかになり、本学の運営のあり方を見直すよい機会となりました。今後は、設置者との協議を踏まえつつ、私のリーダーシップのもとで規程等を早急に整備するとともに、教授会での議論を通して教員聞の意識向上を図っていく所存です。

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