札幌市立大通高校と中央幼稚園

 札幌市はPFI事業を率先して行った自治体。
第一号はこの後に行った斎場。

この高校は第2号。

でもこの後PFI事業は行われなくなる。

ここは時間帯によって3部に分かれる定時制高校。

平成20年開校でこの新校舎は22年から使用開始。非常に新しく、内部のデザインもなかなか斬新で、入学希望者が多い学校だ。

BTO、つまり建てて(Build)権利移転して(Transfer)そのご運営(Operation)方式で建てられており、市がこの施設を建築後間もなく買い取っている。結果SPC側に市は賃貸料などの支払いは行っていない。

建設に関してはVFMを8%と算出している。
維持費は従来型の場合運営費に6500万と計算したが、PFI事業者の提案は6100万。400万ほどVFMが発生していると計算している。

通常の学校建設であれば同等の規模であれば6階建ては必要だと考えていたのが、PFI事業者の「民間の知恵」により5階建てで十分な機能を確保できているという。

一方で
細かなところで学校建築になれていない業者が建設したが故の問題点が幾つかあるという。
例えば
大型の教室の電灯のスイッチが入り口の近くになく黒板側の部屋の奥にある。

またプロジェクタを使う関係で電気は前から後ろに向けてスイッチが分割されていて、前から消していくことが出来るのが求められる形なのだが、
自然光を取り入れて電気を削減するため窓側から順に電気が切れるような配線にしてある。

省エネを意識した設計と、学校運営上の利便性の意見の対立だが、建築デザインが出されたときに議論されずに建ってから発覚し改善が必要となっているらしい。

 一番大きな問題は
校長以下学校を運営していく側と、SPC側の施設管理側との間で、運営上の意識の違いが予想以上に衝突しているようだ。

学校の先生は授業の準備で突発的に早朝に出勤したり、遅くまで作業に追われることがある。
通所の学校であれば鍵を管理する用務員に対してその旨を伝えて解錠、施錠をしてもらう。
ところがPFI側は学校の管理下にないので教師の個別の要望に応えることを拒む。


このような問題を解決するために、学校側、PFI事業者側、市教委との間で契約の改正や加筆などの競技を行って都合ごとに取り決めを行うことが必要となってくる。


その他様々な評価ポイントが400ポイントほど有り、内100ポイントが記録されると事実上運営費が支払いされなくなる。

 このモニタリングにも結構人員が割かれているため、当初予測していたVFMが額面上存在しても投入される実労力を考えると、果たして得だったのか損だったのか分からない。と言うのが現時点での状況のようである。


教育機関と営利団体は元々目的が異なる。同様の摩擦は破綻した高知医療センターにおいても確認されている。


この高校の例は、必要なところだけ市が管理して他は業者に投げてしまおうという感覚でPFIを考えると、事業によっては以前と同等かそれ以上に労力がかかる可能性がある事を示しているような気がする。





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